- (2026年4月27日更新)
Blueかあさんの自閉症子育て回想ノート
第一回 私が在宅ワークを始めたわけ
在宅ワークを選ぶ理由は人によってさまざまだと思う。
私には重度の自閉症である息子がいる。息子が起きている間は片時も目を離せない状態であることが大きかった。通院や療育、スイミングやお絵描きなど習い事もすべて付き添う必要がある。
働ける時間は、息子が寝ている時(またなかなか寝てくれない)や、学校に行っている間(送迎が必要)、ヘルパーさんに託してお出かけしてもらっている時間など、不規則で細切れだった。勤務先に出かけずに、部屋着のまますぐPCに向かえるような仕事が都合よかった。
職種は選んでいられないとも思ったが、たまたまフラウネッツでWEBライターのお仕事に縁があり、もともと学生の時の希望職種がマスコミ関係、最終的にはライターだったことを思い出して、初心に戻るような気持ちで臨むことになった。

WEBライターのお仕事は主にクライアントから依頼される。
テーマや対象となる読者、文章のトーンもほぼ決まっていて、自分を別人格に見立てて書くことすらあり、自分が好きなように文章を書く機会は、仕事上はほぼないと言ってよい。
こちらでは自由にテーマを決めて書いてよいということなので、かえって困ったのだが、私の人生最愛の推しである息子とのあれこれを書いてみようと思う。
息子はもう大人で現在は施設入所中だが、息子が27歳まではヘルパーや短期入所など地域支援を駆使して手元で育ててきた。
ゆっくり眠れる時間もとれないほど大変だったが、自分の手を離れた今、やっと少しずつだが語れる余裕ができた。お悩み相談サービス「Advio」に発達障害の育児の「経験者」として登録もさせていただいた。
息子にもプライバシーはあるし、振り返れば周囲や地域社会に迷惑もかけていた。壮絶なエピソードも多くて、どこまで書けるか、子育て真最中の親御さんたちが読んでどう感じるかも心配なのだが、息子との歩みは悪いことばかりではなかった。
とにかく今、元気で生活していることが奇跡だと思うので、よかったら1年間お付き合いいただきたい。
第二回 仕事で学んだペルソナは育児にも活用できた?
WEBライターのお仕事は、自分を別人格に見立てて書くことすらある、と第一回に書いた。
例えばターゲットとなる読者が30代女性だとしたら、私はライターを始めた時点ですでに上の世代だったが、人生の先輩のような目線には立たなかった。
30代女性が読んでどんな風に感じるのか、文章のトーン、展開や結論はもとより、ここはカタカナ語を使ったほうがよいのか、漢字がよいのか、まで悩みつつ書いていた。
今はAIに尋ねたら適切な答えをくれるのだろうか。当時は、その世代向けの雑誌やメディアを読んでトーンや語彙を学んだりもした。かといって、オシャレな文体をまねたり、使い慣れぬカタカナを多用するのも不自然だ。
参考にしつつも自分が今30代なら、どんな文章に共感するかを想像した。マーケティングで具体的に想定した読者像を「ペルソナ」と呼ぶのだと仕事上で教わったのだが、心理学の用語ではペルソナは「仮面」を表す。
ライターとしての私は読者と自分を同一化した、別人格の「仮面」をかぶる習慣をつけた。それは、重度の自閉症である息子の育児にもいつしか反映されていた気がする。
息子は6歳で自閉症と診断された。
発達の遅れは2歳ごろから明らかで自分なりに勉強していたが、なんせ母親としても初心者なのだ。自分の子ども時代とも周りの子どもとも全く違う息子にどう対処してよいかわからず、周囲の誰も正解を持っていなかった。当時発達障害の育児本はほぼなく、専門家すら足りない。療育でアドバイスをもらっていたが、母としての接し方は私自身が見つけなければならなかった。
「5歳程度の知能なのだから5歳児に接するようにしてみよう」と思ったのだから、息子が10~12歳ぐらいか。ライターを始めた時期とも重なるが、それまでは長い試行錯誤を繰り返していた。
息子は声にこだわりがあり、声のトーンや口調で人の好き嫌いも決めていた。
ペルソナの参考イメージは「(息子に好かれる)幼稚園の先生」だ。私の声は若干低めなので1トーン高くし、かつ柔らかな抑揚をつけるようにした。
褒めるときはより印象に残るように表情も大げさにする。叱ったり止めたりもどうしてもしなくてはならないからだ。そして大事なのは何もしでかしていないときに褒めまくる。
「否定より肯定」を基本に。これらは高齢の親の介護にも意外と応用が効く。もちろん若干のキャラ調整は必要だ。
息子の反応は、はたして上々であった。
最初こそ訝しげだったが、緊張状態から笑顔を引き出せることも多々あった。
息子が思春期~大人になってからも、私はそのペルソナを演じ続けている。
もちろん年相応に大人として接するべきという考えもわかる。それに実は人前ではすごく恥ずかしい。
でも憑依すると周りの視線は消える。息子が喜ぶなら、シロクマになりきって宙を泳ぐこともできるし「わあBlueくん、えらーい!お注射がんばれてめちゃくちゃかっこいいよ!」とこの前も施設で褒めまくってきたばかり。
いつか息子に「お母さんバカみたい」と言われたらやめようかな。
Blue
大学では心理学を専攻。40代からWEBライター。
ライター歴は約20年。初心者向けライター講座講師。Advio(アドビオ)経験者登録済
重度の大人の自閉症の息子がいる。
趣味は推し活(最愛の推しは息子)、映画鑑賞、音楽鑑賞、メイク動画を見ること








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